2023/12/11
本記事では、一般的な呼称のメモリーレコーダに分類される弊社のスコープコーダを理解する上で必要な基礎知識を4回に分けて解説する。
スコープコーダはオシロスコープと操作法や外観は似ているが、オシロスコープが主に電圧・電流の波形を観測するのに対して、スコープコーダは電圧・電流に加えさまざまな物理現象を多点で観測するのに用いられる。
低周波の波形測定は、一般の家庭や工場に配置される配電盤やコンセントに供給される交流電源だけではなく、機械の挙動、電気化学現象の観測、生体の観測にも使われている。このため、電磁波など環境ノイズに強い設計が求められる。
スコープコーダが多く使われるメカトロニクス機器やパワーエレクトロニクス機器での利用事例を多く紹介する。
本記事では、スコープコーダの構造、測定事例、使用上の注意点などを解説する。記事を読むための特別な事前知識を必要としない、初めてスコープコーダを使用する人が学ぶための内容とした。
2023/07/07
計測器は商品なので、形名(かためい)、品名などの名称があります。本稿は「計測器の形名」について考察する連載コラムです。前回は形名の定義から始まり、2つの種類を具体例で示しました。今回はオシロスコープの形名の変遷をアナログオシロスコープ時代から話します。現在のオシロスコープは、ほとんどの計測器メーカが全世界共通の命名法則に従う珍しい形名で、2000年代からそうなりました。高速A/D変換器が進歩してオシロスコープに搭載された1990年代は、各社の形名に統一感はありません。画像処理DSPの採用によってデジタルオシロスコープの波形表示がアナログオシロスコープと遜色がなくなったTDS3000以降に発売されたモデルから、次第に各社の形名に共通の法則が広がりました。デジタルオシロスコープの歴史が形名に表れています。
2023/06/06
直流安定化電源はエレキの設計技術者にとって必須の測定器である。電気機器は様々な電圧/電流で駆動されるため、小規模な電子回路の実験に使う出力容量が小さいモデルから、パワーエレクトロニクス機器の評価に使うkWクラスの中型・大型モデル、EVの試験に使う100kW以上の超大型モデル (双方向回生電源など) まで、多くの電圧/電流レンジの機種群が発売されている。直流電源は従来のドロッパ (シリーズレギュレータ) 方式と1970年代以降に普及したスイッチング方式が用途によって使い分けられる。スイッチング電源は当初は単一レンジだったが、2000年頃にワイドレンジ (メーカによってオートレンジ、ズーム電源) が登場した。現在はワイドレンジが主流になったため、主要4社のベンチトップの中型モデルの比較表をつくった。
2022/11/14
TechEyesOnline編集部はオシロスコープ全体を俯瞰し、用途を周波数帯域別に整理した。ボリュームゾーンである1GHz帯域/4chの各社モデルの仕様と、シリアルバス解析機能を比較表にした。2000年以降のオシロスコープの新しい潮流(新しい機種群の出現)による、最近20年の歴史について概説した。利用者や使い方など市場の変化も簡単に述べた。オシロスコープはアナログ波形だけでなくロジック信号を観測し、プロトコルアナライザのようにシリアル通信の内容を翻訳表示し、特定の通信方式のジッタやアイパターンが規格に合致しているか、適合性試験(コンフォーマンステスト)ができるようになった。多機能になったオシロスコープの選定には、ユーザは自分のやりたいことの明確化と、ある程度の知識やスキルを求められるが、各メーカが多彩な製品群を発売しているので、利用者の選択肢は広がった。本稿が選定の一助になれば幸いである。
2022/03/30
株式会社エヌエフ回路設計ブロック(以下エヌエフ回路)は老舗の大手計測器メーカで、電子計測器、電源機器、電子デバイス、カスタム機器・応用システムをつくっている。電子計測器では周波数特性分析器や微小信号測定器というオンリーワン製品があるが、計測用電源でも国内トップクラスである。特にバイポーラ電源は数十年の歴史がありラインアップが多く、顧客の需要に応えて製品追加やモデルチェンジを行っている。最近では広帯域モデルの高速バイポーラ電源の新製品HSA42012/42014を2020年に発売している。エヌエフ回路のバイポーラ電源の歴史、新製品開発の背景、今後の展望などを具体的なアプリケーションも交えて、同社 市場開発営業部 マーケティング営業企画グループ セールススペシャリスト 佐藤公治氏とパワー事業部 開発第3部 開発第3-1グループ グループマネージャ 家本悠氏に伺った。本稿ではバイポーラ電源とは何かも簡単に解説する。