2024/11/29
歯車とは「JIS B0120-1歯車用語」によると「歯を順次かみ合わせることによって、運動を他に伝える、又は運動を他から受け取るように設計された歯を設けた部品」です。歯車は自動車で多く使われ、エンジンやトランスミッション等の型式により歯車の個数は異なりますが、数十から100個近くになるようです。本稿では先ず、歯車の歴史と種類を解説します。平行軸の歯車として、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、内歯車、ラック&ピオニオン、非円形歯車、交差軸の歯車として、すぐばかさ歯車(ストレートベベルギヤ)、曲がりばかさ歯車(スパイラルベベルギヤ)、食い違い軸の歯車として、ウォームギヤ、ハイポイントギヤ、ねじ歯車(スパイラルギヤ)、の構造を説明します。その後に、主要な材料の製法について、創生法と成形法、ホブなどについて述べます。歯先や歯面などの歯車各部の名称や、インボリュート曲線、サイクロイド曲線、バックラッシュなどの歯車理論を概説し、自動車各部への歯車の適用事例を紹介します。最後に歯車に関連した計測器の例を示します。
2024/10/30
自動車は多くの部品で構成されています。エンジン搭載車では数万点の部品で構成されています。各々の部品もまた多くの原料や材料で作られています。車両のボディ※1やエンジン※2には鉄系の材料が、軽量化を目的とする部品にはアルミ系の材料、バンパーには合成樹脂系の材料、タイヤ※3にはゴム系の材料など、様々な材料が車両の機能や性能に合わせて適用されています。本稿では、自動車に適用されている主要な材料を解説します。先ず、材料の分類を示し、各材料の基本的な特徴を解説します。鉄系金属として炭素鋼、合金鋼、鋳鉄を、非鉄金属は銅、鉛、亜鉛、合成樹脂、ゴム、セラミックスについて述べます。その後に、主要な材料の製法について概説します。鉄鋼には高炉法と電炉法が、アルミニウムはバイヤー法とホールエルー法があります。銅や亜鉛、合成樹脂も説明します。最後に自動車の材料に関連した計測器の例を示します。
2024/09/30
近年、「SDV」というキーワードを見聞きする機会が増えていると感じます。「SDV」はSoftware Defined Vehicleの略で、訳すと「ソフトウェアによって定義された車」でしょうか。「SDV」に関する省庁レベルの動向として、2024年5月に経済産業省と国土交通省とが「モビリティDX戦略」を策定し公開しました。その戦略の中で、「SDV」を自動車分野のDXとして位置づけ、電動化と並ぶ競争基軸として捉えています。本稿では「SDV」を実現するために、車両として対応が求められる新たな車両アーキテクチャ、特に重要な技術としてE/Eアーキテクチャ(Electrical/Electronicアーキテクチャ)の基本構造について解説します。先ず、SDVが進展してきた背景を紹介します。また、「モビリティDX戦略」のサマリを、経済産業省・国土交通省の資料を元に説明します。その後に、E/Eアーキテクチャの基本形である、「分散型アーキテクチャ」、「ドメイン型アーキテクチャ」、「ゾーン型アーキテクチャ」を解説します。次にSDV化に伴う求められる変革を紹介します。自動車業界の役割分担と責任分担の変化、開発プロセスの進化、サイバーセキュリティ対応、リコールやOBD車検などの市場品質対応などが挙げられます。最後にE/Eアーキテクチャに関連した計測器の例を示します。
2024/09/20
キーサイト・テクノロジーはKeysight World 2024 ~ TECH DAYを8月2日(金)に東京駅のJPタワー ホール&カンファレンスで開催しました。ソリューション展示の30コーナの中から、量子コンピュータ(量子制御システム)、パワー半導体(動特性の評価)、電気自動車(バッテリの充放電テスト)、サイバーセキュリティ(OTネットワークの可視化)と、今回もTechEyesOnline(TEO)取材班は最新テクノロジーを紹介します。量子コンピュータ実現に向けて各国が研究を加速し、日本は超電導方式で世界をリードしています。キーサイトは産総研G-QuATから2023年に1000量子ビットシステム(マイクロ波PXI製品)を受注しました。システム概要や量子コンピュータの現状を伺いました。パワーデバイスのワイドバンドギャップ半導体が普及しています。キーサイトは電流プローブなどを開発して動特性評価システムをつくりました。SiCとGaNの違いなどを聞きました。自動車の電動化によって車載バッテリのパックテスト需要が増しています。欧州で実績を伸ばすキーサイトの充放電試験ソリューションを紹介します。工場のシステムがネットワーク経由で狙われ、大きな損害が出ています。対策に使われるネットワーク可視化装置で売上を伸ばす、Nozomi社Guardianが出展されました。
2024/08/29
リレーは英語「relay」の造語です。意味は「受け継いで次につなぐ」です。日本語では「継電器」となっています。語源はラテン語とされており、フランス語を経由して15世紀頃に英語となったようです。本稿では、リレーの技術を概説します。最初にリレーの定義と歴史を紹介します。次にリレーの基本原理、分類、接点の構造・形状を解説します。電気機械式リレーの構造や回路図、外観から始まり、シングルステイブルやラッチングの動作、色々な種類がある接点(a接点、b接点、2a2b接点、4c接点など)を図解します。さらに、安全リレー、リレー駆動回路、およびリレーの動特性を概説します。リレーの駆動回路には、保護のためにダイオード方式やスナバ回路、アクティブクランプ方式などがあります。これらを回路図で説明します。その後に、リレーに関する不具合事例や、回路の遮断機能であるフューズ、特殊なリレーを紹介します。自動車に多く使われている各種のフューズを図や表で解説します。最後にリレーに関連した計測器の例を示します。