季節のバナー画像シリーズ【Vol.32】信州上田・塩田平の輝き
“TechEyesOnline”のバナー画像として採用した取材先をご紹介していくシリーズです。
うつろい変わりゆく季節感や日本の四季折々を、TEO取材班がお届けします。 第三十二回は、“信州上田・塩田平の輝き”です。
上田電鉄別所線の八木沢駅付近から塩田平の田園風景と独鈷山を望む
長野県の東部に位置する上田市は、北は菅平高原、南は美ヶ原高原と山々に囲まれた盆地で、市の中心を東西に千曲川が流れている。上田盆地中央部に分布する上田泥流は、この千曲川流域の火山体からもたらされた火山砕屑岩層※1で、7~8mの落差のある崖となっている。その上田泥流の落差を土台として利用したのが真田氏ゆかりの上田城で、今では上田城址公園として花と緑に囲まれた散策スポットとして有名だ。園内には天守こそないが、櫓や石垣などかつての面影も楽しめる。また真田神社があり、徳川の大軍を2度も退けた不敗の城にあやかって、必勝祈願や必勝守を求める人も多い。
今年の6月、信州上田・塩田平が日本遺産に登録された。※2
上田市の中央部を南西に向けて繋ぐ線をレイライン(夏至の朝、太陽が日の出の際に地上につくる光の線)と呼ぶそうで、ライン沿いに分布する神社仏閣や人々との関わり、「祈りのかたち」がテーマとしてストーリーになっているそうだ。
鳥居の中を一筋の太陽光が通り抜ける光景なんて何とも神々しいイメージだ。
11月初旬の信州上田はちょうど秋の真っ盛りで、レイラインを巡る各スポットの広葉樹も、美しく色づいていた。
夏至の朝日は信濃国分寺、生島足島神社、泥宮を通り抜けて信州最古の温泉地、別所温泉へ導かれるそうだ。別所温泉へは、上田駅からローカル線の上田電鉄別所線で約30分。塩田平の豊かな田園地帯を時速30㎞もない速度でゆっくりと走る。 どことなく郷愁をそそる八木沢駅付近から見た風景は、空高く広がる青空に秋の雲が散りばめられ、陽光を浴びて輝く独鈷山※3 が実に綺麗であった。
別所温泉には、偉人にゆかりのある3箇所の外湯※4があり、温泉街をのんびりと歩きながら外湯巡りを楽しむのもいい。温泉街の中心地には、あの愛染カツラの大木がある北向観音※5があり、参道の石段を上がると本堂が見えてくる。境内の東側はちょうどレイラインの方角を向いていて、少し高台となっているので見晴らしがよい。塩田の大地と紅葉した彼方の山並みが夕日に照らされた光景は、まさに「太陽と大地の聖地」を彷彿とさせる光景で忘れがたいものになった。
※1 火山砕屑岩層:火山噴火などで噴出した溶岩や砕屑物(さいせつぶつ)が固まってできた岩石の層。
※2 信州上田・塩田平の日本遺産登録:塩田平の神社仏閣や雨乞い行事などが、文化庁の日本遺産として2020年6月に認定された。
※3 独鈷山:(とつこざん)上信越・筑摩山地、標高1,266m。古くは修験道で栄え、今は3時間の登山コースがある。
※4 3箇所の外湯:真田幸村の隠し湯「石湯」は、大きな石積みの湯舟が印象的で硫黄の香りと熱めの湯が堪能できる。慈覚大師ゆかりの湯「大師湯」は、北向観音堂を開いた比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が好んで入ったとされる湯。木曽義仲ゆかりの葵の湯「大湯」は、木曽義仲が愛妾葵の御前としばしば入浴していたので「葵の湯」とも呼ばれる湯で、露天風呂もある。
※5 常楽寺・北向観音堂:平安時代初期の天長2年(825年)、比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により開創。温泉街の中心にあり、厄除観音として日本全国の信仰を集めている。北向きに建立されており、千手観音菩薩を御本尊として現世利益を願う。阿弥陀如来が御本尊で未来往生を願う南向きの長野の善光寺とは向かい合う形になっている。
信州上田・塩田平の輝き
【お問い合わせ】
上田市ホームページ
(取材日:2020年11月3、4日)
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