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2024/05/24

季節のバナー画像シリーズ【Vol.42】千年乃藤


“TechEyesOnline”のバナー画像として採用した取材先をご紹介していくシリーズです。
うつろい変わりゆく季節感や日本の四季折々を、TEO取材班がお届けします。第四十二回は、“千年乃藤”です。

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國領神社の千年乃藤(東京都調布市)


國領神社の千年乃藤

今年は昨年より1週間ほど遅い開花となり、4月末に見頃となった

 東京都調布市の國領神社に、境内を覆う藤の木がある。

 高さ4メートルもの藤棚が400平方メートル四方に広がり、たくさんの淡い紫色の花房がぶら下がっている。太い幹が藤棚の中央から昇龍のように伸びて二本の電柱に絡まり、電柱の上まで登って折り返し、棚一面を成している。(※1)


藤棚の中央から昇龍のように伸びる幹

藤棚の中央から伸びる幹。長い歳月を経て今もなおよく茂るため、延命や子孫繁栄のご利益があると言われている

藤はマメ科フジ属のつる性落葉木本。マメ科の花びらは「蝶形花」で、二枚貝のような形をしている。たくさん咲いた姿は、離れて見るとまるで葡萄の房のよう。花言葉は「優しさ」「歓迎」「佳客」。 右端は5月の連休頃までの期間限定の「飛び出す御朱印」(今年は4月10日より頒布)。昨年TVで、国内在住の外国人に流行、と紹介された

 藤の花は4月の下旬頃から連休にかけて開花する。花は甘く爽やかな香りがし、そよ風に揺られて辺り一帯を芳香で包む。蝶のような花をつけた花穂が滝のように垂れ下がり幻想的で美しい。


葡萄の房のような藤

國領神社の藤の花は「ちょうふ八景」の1つに指定されている

 古くは奈良時代以前から観賞され、「万葉集」には詠まれた歌が幾首も登場し、その多くは“藤波”(藤の花が風で波のように揺らめくさま)と表現されている。
 平安時代には、高位を表す紫色(※2)と藤原氏の藤ということで特別に尊ばれた花であったらしい。源氏物語の有名な登場人物「藤壺」は高貴な美女として描かれた。

 最近の話題としては、今夏に発行される新五千円札であろう。表面に女子英学塾を創設した津田梅子、裏面には紫色を基調とした紙幣ということで藤(ノダフジ※3)の絵柄が採用された。
 公園のベンチの上によく見かける藤棚だが、神社の御神木だけあってスケールが違う。樹齢400~500年、人々は畏敬の念を込めて「千年乃藤」と呼んでいる。


神代植物公園

國領神社から徒歩でも行ける神代植物公園。 遅咲きの八重桜が終わり、つつじとしゃくなげの開花時期になった


神代植物公園のしゃくなげ

美しく大きな花を咲かせるしゃくなげ。花木の女王とも呼ばれる


「オステリア アルコバレーノ」の鰯のオリーブオイルソーススパゲッティ

パスタからドルチェまで自家製。本場イタリアの味を愉しめるレストラン「オステリア アルコバレーノ」の鰯のオリーブオイルスパゲッティ。國領神社の最寄り駅、京王線布田駅の駅前


※1:以前はケヤキの大木に絡まっていたが、ケヤキが落雷のために朽ちてしまい、代わりに高さ12メートルの電柱を二本建てた。(境内の説明書より)
※2:一例として聖徳太子が制定した「冠位十二階」では最高の冠位を示す色が紫だったことに由来する。
※3:ノダフジ(野田藤):日本古来のフジの一種で大阪市福島区が発祥地とされる。



千年乃藤


【お問い合わせ】
國領神社ホームページ

TEO取材班 
(取材日:2024年4月23日)


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